学ぶ事とは何でしょうか
学ぶ一つの指針となる技術力
技術力のひとつに「デッサン力」があります。
デッサンは美術の基礎と言われる程に根源的な力です。
デッサン力が備わるという事は、見たものをそのまま描写できる再現技術や、イメージした図像を具体的に表現できるようになるという事です。
そしてデッサンを繰り返す事で観察力が養われ、見る観念も変化します。
モチーフをじっくり観察する事で繊細な違いを理解し、どのように形が成り立っているのか、相対的な認知力、物と物との関係、光と影の関係、または物体が置かれた空間を具体的に理解できるようになります。
正確なデッサンを行う為には、インプットアウトプット両方の技術が必要です。
インプットした精度の高い情報を、どのようにアウトプットするのか。
ストロークや筆圧、常習的に使用する道具、手の動かし方や癖、様々な要因から何がポジティブでネガティブなのかをメタ認知し、その対処法を学んでいきます。
デッサンは技術です。誰もが習得できる技術で特別なものではありません。持続して行う事で必ず身につける事のできるものです。
またデッサンは他の美術の勉強とは違い、非認知能力も高めます。
好きなものを好きなように描く表現はとても心地よいものですが、目的や計画を立て実行すると、課題に対しての問題が見え途端に大変なものに感じます。
デッサンはその課題が見えやすく、自制して努力する精神を養います。
非認知能力
重要視される非認知能力とは
例えば、最初から美大生のようなデッサン力を備えた人など存在しません。幼少期から天才的なデッサン力だったといわれるピカソですら、デッサンの練習に勤しんでいました。
何事もそうですが、知識を得て実行し、違いを認知し、修正を繰り返し継続する事で成長します。
その結果に導く為に必要になる力が、忍耐力や集中力、持続力、そして自分をコントロールする自制力といった非認知能力です。
ノーベル経済学受賞者ヘックマンが社会的経済的能力は創造することができると提唱し、必要な能力はIQや測定できる学力を向上させる事だけではなく、非認知能力を高める事が最も重要だとしています。
忍耐力、協調力、集中力、持続力、自制力。
デッサンを長時間、持続的に継続する事は簡単ではありません。
美大生が美術大学を卒業後、頻繁にデッサンを行いデッサン力を維持する事を行うのかというと、大半の卒業生はそれを辞めてしまいます。
様々な理由がありますが、要因の一つに受験時代や大学時代に行なった習学行為は過酷だと感じていたからです。
着彩や作品作りはデッサンとは違い、イメージを具現化する作業や、実験要素が多く、要素が複雑で刺激的です。
それに比べデッサンはひたすらにモチーフをそのままに描写する事を目的としたストイックな作業です。
しかし、このストイックな作業の中にこそ、忍耐力や自制力を養う事ができる要素が含まれています。
また多人数で行う行為には義務が生まれ、強制的な抑制が働きます。
自分をコントロールできない人程、多人数が集まるコミュニティに属し、そこで学びの強制的な時間を作り、習慣化させるべきです。
いずれそれは強制された習慣から、自分で行える習慣に変化するからです。
感覚を養う事
センスとは
センスは生まれ持った才能ではありません。
沢山の知識や経験から学び得た総合的な感覚力のことです。
世界に100の美意識があると仮定して、その美意識を学んでいる数が多ければ多い程、美意識の価値を相対的に判断できます。
どんな物事も同じですが知識が多ければ選択出来る幅も増え価値の判断も出来ます。
ひとつの価値だけを学んだ状態、それはその価値観だけに支配されている状態だという事になります。
センスを磨くと言う事は、沢山の価値を学び相対的に理解できるようになる事が前提です。
上手く描ける事だけが美術ではないように、様々な表現があることを知ると、センスや価値観とは何なのかを考えるきっかけになります。
新しい事を知り、学び実践し経験して、どんな感覚になり得たのかを沢山知る事で感覚力を養っていきます。
具体的なレッスン
受験生へ
対象とする学校での試験内容に準じてレッスンを進めます。
デッサンの試験は必ず行われます。後は学科によって油彩画や色彩構成であったり変わります。
デッサンはアプローチから仕上げまで合理的な描き方を学び、時間内にどこまで仕上げられるかに焦点を当て結果にコミットします。
クロッキー、静物、石膏像、人物など様々なモチーフにて特性を理解し表現できるように学んでいきます。
試験が近くなれば模試形式で時間内に描く訓練に特化していきます。この時期までに、いかに基礎的なアプローチやハッチング、下地処理を学んだかが重要です。
なるべく早い時期にアトリエにお越しください。
余裕があればじっくり学べます、ですが短くても方法を模索し提案いたします。
大人の方へ
20代〜40代の大人が9割のアトリエです。
作家志望の方やお仕事に関連する為に学びに来ていただいてる方、またお仕事が終わってからの余暇や週末を利用して絵画を楽しんで頂いている方など様々です。
描きたかった事、学びたかった技法など、目的を伺ってその達成方法をお伝えしています。
ブランディングが必要な方には行い、様々なアドバイスを行います。
イベントも豊富に行なっています。
ギャラリーや美術館での展覧会、アトリエの外で行う写生会やヌードデッサン会などございます。
アトリエ外レッスンは任意参加ですので、ご希望の方にご参加いただき、そして皆さんで交流を楽しんで頂いています。
じっくりと練習し学んでいただき、あなたの世界にもうひとつの世界を育んでください。
描きたかった世界を、あなたの手で実現してください。
アトリエのこと
少人数、自由時間制
固定された曜日時間ではなく、通われる方が通いやすいように自由な曜日時間設定で予約して頂く完全予約制をとっています。
少人数(最大3名)にてレッスンを行なっていますので、空間的な余裕があり、伝える事の余裕もあります。
室内の環境もレッスンに集中していただけるように拘っています。
他ではない特別な時間を提供しています。
個別サポート
少人数ですので、今日はこれを描きましょうといった合同レッスンではなく、個別の内容でレッスンを進めています。
同じ時間アトリエに他の方が居ても、ある方は油彩の勉強、ある方はデッサンを行うなど、今学ばれたい事をそれぞれレッスンして頂いています。
技術を習得したい方は必要な訓練を行い習得していただき、アーティストとしての価値観を広げたい方は様々な情報をお伝えします。美術の歴史から分脈を読み取り思考を多様化させ、様々な概念を学んでいただいたり、お勧めの本や情報をお伝えします。
ひとつ先の可能性を見出すにはコンテストや展覧会だけではなく、その方の特異性を踏まえブランディングを行い様々な情報からより良いアプローチを提案いたします。
時代は常に変わります。セオリー的なアプローチだけではない現代の方法をお伝えします。
楽しみながら勉強して頂く先には、未知の世界を探検する冒険が待っています。
社会人サークルとして
20代〜40代の大人の方が大半のアトリエですので、アトリエ外で行うレッスン(写生会など)では学び楽しみそして交流していただくという社交性を含んでいます。同じ趣味や志を持つ方が集い交流し楽しんで頂いています。
また未成年の方も大人と同様に交流をして頂くことで、大人との思考の違いや経験による多様性から様々な学びを得られます。
夏にはキャンプ、年末には親睦会、レッスンなど行っています。
生徒さん同士で個別に交流を深めて頂いたり、コミニティーで得られる経験を楽しんでください。
Art Of Peopleという名
この名にした意図は、僕が主体ではなく通われる方が主体であるという意味を込めています。
「人の芸術、その人の芸術」
様々な価値観があり、目的が違います。
お伝えしているのは技術や知識です。その中で今必要だと思われる物事を取り入れ応用して頂きます。
何に価値を持つのかもその方の自由です。
技術に価値を見出す方、抽象度の高い感覚的な価値を求める方、それぞれに様々な価値を持って学ばれています。
その方に合った、必要だと思われる物事を伝え、より価値を高め広げられるお手伝いを致します。
最終的には様々な価値に興味を持ち、取り入れて頂ければ人生の幅も広がると思います。
そして是非この可能性に満ちたアートの世界を、同じ志を持った方達と探検して頂ければと思います。